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小さい音(pp)をきれいに出すためのコントロール練習

こんにちは!JR大塚駅から徒歩2分、ミュージックアカデミーラファーレピアノ講師の新林です。
ピアノを弾いていて、「小さい音が全然響かない」「弱くしようとすると音がスカスカになる」「弱い=浅く触るだけになってしまう」——そんな悩みを持つ方はとても多いです。実は、小さい音(pp)を美しく響かせるためには、力を抜くことよりも“支えること”が大切です。弱い音ほどコントロールが難しく、丁寧な練習が必要になります。今回は、今日から実践できるppの改善方法を紹介します。

弱い音=軽い音 ではない

「力を抜けば弱い音になる」と考えられがちですが、単に力を抜いただけでは音に芯がなくなってしまいます。大切なのは、指先にしっかり重さを伝えたまま、ゆっくり鍵盤を沈めること。鍵盤の底に着く直前まで丁寧にコントロールし、音の芯を保つことで、ホールでも広がる柔らかなppが生まれます。

よくある失敗とその原因

ppを苦手とする理由には、いくつかの共通点があります。
まず1つ目は、指先がカサついた硬い音になってしまう というケースです。これは指先の支えがなく、鍵盤を速く押してしまっていることが原因です。速い打鍵は弱い音でも鋭いアタックになり、耳に刺さるような音になってしまいます。

2つ目は、音量の差がうまくつけられない という悩みです。弱く弾いているつもりでもmpやmfと同じ音量になってしまう場合は、鍵盤を押すスピードがいつも同じになっています。音量は力ではなくスピードで変化します。押し込むスピードを変えられると、音の幅を大きく広げることができます。

3つ目は、弱くしたつもりが音がほとんど出ないという状態です。これは力を抜きすぎてしまい、指先の支え自体がなくなっていることが原因です。支えがゼロになると鍵盤の底まで届かず、音として立ち上がらなくなります。
これら3つの問題はすべて、「鍵盤をゆっくり沈める意識」と「支える脱力」を身につけることで改善できます。

おすすめ練習①:音をゆっくり下ろす

1つの音だけを、できる限りゆっくり沈めて弾きます。鍵盤の底に当たる感覚をよく聴き、毎回同じ質の音を出すことを目標にします。音にならない区間を丁寧に扱えるほど、ppは安定します。

おすすめ練習②:音を支えながらキープする

音を出したら、そのまま5秒キープ。途中で手首が落ちないよう背中と腕で支え、指先の接点を保ちながら脱力します。弱い音ほど響きを支える感覚が重要です。

おすすめ練習③:音量の段階練習

右手で ppp → pp → p → mp → mf → mp → p → pp のように段階的に変化させます。音量の変化を細かくコントロールできる力を養うことができます。録音して自分の耳で聴き比べると、感覚との差に気づけて効果的です。

ppを磨くと演奏が大きく変わる

弱い音がコントロールできると、演奏全体の表現力が大きく向上します。

  • フレーズの表情が豊かになる
  • 客席を惹きつける静の場面が作れる
  • forte がより映える
  • 曲の奥行きが生まれる

特にクラシックでは、静かな場面をどう扱うかが演奏の差に直結します。
小さな音を丁寧に磨くことは、演奏家にとって大きな財産となります。

まとめ

小さい音(pp)をきれいに響かせるためには、

◎ ゆっくり沈める
◎ 支える脱力
◎ 同じ質の音を再現する

 

この3つが鍵になります。
今日の練習で、ぜひ1音のコントロールから始めてみてください。
弱い音の中にこそ、ピアノの深い魅力が詰まっています

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