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メトロノームの歴史

こんにちは!池袋から2駅、ミュージックアカデミー ラファーレの堀川です。
ピアノの練習中、いつもそばで一定のリズムを刻んでくれるメトロノーム。
皆さんにとってはどんなイメージでしょうか。
練習を厳しくチェックする先生のような、ちょっと苦手な存在に感じている方もいるかもしれませんね。
でも、この小さな箱の正体を紐解いてみると、人間味にあふれた物語が隠されているんです。
知れば今日からの練習が少しだけ楽しくなる、メトロノームの裏話をご紹介します。

1.メトロノームがなかった時、音楽家たちはどうしてた?

メトロノームが発明される前の時代の音楽家たちは、どうやって曲の速さを決めていたのでしょうか。
実は、驚くほど身近なものを基準にしていました。
それは、人間の「脈拍」や「歩く速さ」です。18世紀頃までは、人間の心臓の鼓動(1分間に約60回から80回)を基準にして、
「この曲は脈拍と同じくらいの速さで」といった具合に決めていたといわれています。
また、振り子の原理にいち早く注目したガリレオ・ガリレイは、教会の天井から吊るされたランプが揺れるのを見て、その周期が常に一定であることに気づきました。
しかし、それを実用的な音楽の道具にするまでには、さらに100年以上の月日が必要だったのです。
それまでは、演奏者の感覚だけが頼りだったというのですから、当時の合奏がいかに大変だったかが想像できますね。

2.楽譜にある「M・M」という文字の秘密

ピアノの楽譜の左上に、M・M=120といった記号が書かれているのを見たことはありませんか?
これは「
1分間に120回刻む速さで弾いてね」という指示ですが、
このM・Mという文字の背景には、ちょっとした事件が隠されています。
実は、メトロノームを今の形に近いコンパクトなものに作り替えたのは、ヴィンケルという真面目な職人さんでした。
しかし1816年頃、その素晴らしいアイデアを横から見ていたメルツェルという人物が、「これなら商売になる!」と確信し、なんと勝手に自分の名前で特許を取って売り出してしまったのです。
このメルツェルという人はとても商売が上手で、あっという間に世界中に広めてしまいました。
そのため、世界中で「メルツェルのメトロノーム」という言葉の頭文字をとって、M・Mと呼ばれるようになってしまいました。
本当ならヴィンケルさんの名前が残るはずだったのに、アイデアの奪い合いから始まった名前が今も世界中で使われているなんて、歴史の少し切ない裏話ですね。

3.速さを正確に理解する道具

メトロノームに合わせる練習をしていると、機械みたいで息苦しいと感じることもあるかもしれません。
でも、本来の役目は私たちを縛ることではありません。
人間は、気分が乗れば速くなり、不安になれば慎重になって遅くなる生き物です。
メトロノームという「絶対に変わらない基準」があるからこそ、私たちは「あ、今自分は焦っているな」と客観的に気づくことができます。
また、音を鳴らさない「休符」、つまりお休み時間をしっかり待つ大切さも、メトロノームは静かに教えてくれます。

 

おわりに:メトロノームを使って練習する時

現代ではスマホアプリで完璧なリズムを刻めますが、一番大切なのは、メトロノームに合わせることだけを目的にしないことです。
メトロノームは、暗い道で足元を照らしてくれる懐中電灯のようなもの。
道が分かったら、あとは自分の感性で自由に歩き出していいのです。
次にピアノの前に座ってメトロノームのスイッチを入れるとき。
あぁ、練習しなきゃ……と身構えるのではなく、ベートーヴェンを悩ませた、あの2メートルの装置の進化系なんだな、なんて思い出してみてください。
そう思うと、あのカチカチという音も、少しだけ親しみやすく感じるかもしれません。

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