Blogブログ

音楽の専門家ならではの視点から、さまざまな内容で記事を掲載していきます。

JASRACと音楽教室と…高校野球?

いつもミュージックアカデミーラファーレの活動にご協力をいただきありがとうございます。
久々のブログ、せっかくなのでJASRACと音楽教室(音楽教育を守る会)の地裁判決について感じたことをまとめてみました。

ちなみに当校は楽器店系列ではありませんので、現時点でJASRACさんより使用料の請求はありません。
また、現時点で音楽教育を守る会へも参画しておりません。
(そもそもどうやって参画するのか知らないです…不勉強ですみません)

音楽教室を運営する側ではありますが、なるべくフラットに考えてみたいと思います。
なお、本話題に関する記事は数回に分けて公開いたします。


騒動の経緯と双方の考え

今回の騒動の経緯はニュースサイトや双方のホームページ等に書かれてありますので割愛します。

JASRACの考えを含めて、今回の判決コメントがホームページに書かれてあります。
勝訴しただけあって意気揚々と書かれているようにお見受けしますね。
https://www.jasrac.or.jp/release/20/200228.html

そして音楽教育を守る会のホームページにはそれに加えて裁判の進捗も詳しく書かれてあります。
判決についてはPDFでそのままアップされているようです。

争点は「演奏の『主体』が誰なのか」

今回の争点、JASRACのホームページによると

  • 音楽教室事業の遂行過程における音楽著作物の利用主体は誰か
  • 音楽教室での演奏は「公の演奏」か
  • 著作権法22条の「聞かせることを目的」とする演奏

とあります。

このうち楽曲演奏の「利用主体」が誰にあたるのかがこの判決の大きなウェイトを占めているように見て取れます。
その主体を誰にするかによって、それ以外の2点は自ずと答えが見えてくるからです。
JASRACはその主体を音楽教室、音楽教育を守る会は教師または生徒(それもまた曖昧ですが)とそれぞれ主張したうえで、判決は主体は音楽教室と判断しています。
そして、その根拠にはカラオケスナック店における判決(カラオケ法理)を挙げています。

最高裁は「店側はカラオケ機器を設置して客に利用させることにより利益を得ている上、カラオケテープの提供や客に対する勧誘行為などを継続的に行っていることから、客だけでなく店も著作物の利用主体と認定すべきである」と判断し、被告である店の経営者に対して損害賠償を命じる判決を下した。
引用:Wikipedia「カラオケ法理

ネット上をみていると、この点に疑問を抱いている方が非常に多くいらっしゃるようで、私自身も同じように感じました。
私自身、運営者でもありますが楽器によってはレッスンを受講する「生徒のひとり」でもありますので、運営者・講師・生徒それぞれの視点で「誰がそれを求めるか」を理解しているつもりです。
演奏の「主体」がどこにあるのかを整理しているうちに、次のような疑問が生まれてきました。

高校野球〜ブラスバンド演奏の主体は誰なのか

私が調べたわけではありませんが、高校野球の全国大会(通称・甲子園)でブラスバンドを演奏することに著作権料は発生していないと思われます。
なぜなら甲子園球場の入場料は「演奏に対価を求めている」とは(少なくともJASRACには)捉えられていないと推察できるからです。

ご存じの方も多いと思いますが、「美爆音」で有名になった千葉・習志野高校や、野球ゲームとコラボレーションしている大阪桐蔭高校などの演奏は圧巻ですね。
その演奏を「聴く」ことも楽しみにして甲子園球場へ来場する方もいらっしゃるとのことで、音楽の偉大な力を感じることがらのひとつです。

入場者の目的はいわずもがな「高校野球」を楽しむことですが、競技としての野球を楽しむことはもちろん、魅力のひとつには「チームを応援するブラスバンド演奏を聴く」ことも含まれる方も一定数いらっしゃるということになります。

それでは「主体」の話しに戻って、ここではその主体を今回の判決どおり「主催者」と捉えてみましょう。
今回の判決の考え方を借りるならば、主催者である新聞社(あるいは共催の高野連)は「営利目的で演奏を許容し、観客から入場料を徴収している」と考えざるを得ないこととなります。

演奏される方々(ブラスバンド部)に報酬が支払われているかどうかはここでは争点になりません。
有料コンサートに無償での友情出演をした演奏家にはギャラが支払われない(でもそこで演奏した楽曲には使用料がかかる)からです。

高校野球での演奏主体が主催者である「新聞社」であれば…

上記の例、「カラオケ法理」にあてはめてみましょうか。

新聞社(高野連)は「ブラスバンド演奏」を入場客に聴かせることにより利益を得ている上、ブラスバンドが自由に楽曲を演奏できる場所の提供や入場客に対する勧誘行為などを継続的に行っていることから、客だけでなく新聞社も著作物の利用主体と認定すべきである。
参考:Wikipedia「カラオケ法理」(高校野球のブラスバンド演奏に当てはめました)

さて、上記のとおりになりますが皆さんいかがでしょうか。

もし主体が「主催者」であれば、JASRACは主催者に使用料を請求することになりますね。
参考までに、平成29年夏の高校野球は4億4,000万円の入場料収入(スポンサー等の広告費は別だそうです)を上げているそうで、音楽教室同様の料率(包括契約の場合は2.5%)で計算すると…この大会ではJASRACは夏の大会を主催する朝日新聞社さん(あるいは共催の高野連さん)に少なくとも1,100万円の楽曲使用料を請求できるということになりますね。
もっとも、本記事は演奏の「主体」についてのみ考えた場合なので、徴収されていないとしたら別の理由があるのかもしれませんが。

以上、演奏の「主体」について感じたことをまとめました。
次回は「音楽教室の生徒さんは『公衆』なのか」について考察してみたいと思います。


関連記事

レッスン開講時間
平日  11:00〜22:00
土日祝 11:00〜18:00

スタジオ貸出時間
平日  11:00〜22:00
土日祝 11:00〜18:00

電話予約受付時間
平日  11:00〜18:00
土日祝 11:00〜18:00